工場で働くメリットとは? その魅力を徹底解説

工場で働くメリットとは? その魅力を徹底解説

■はじめに

工場とは、製造業やサービス業において、さまざまな製品の製造や組立をするところです。

一口に工場と言っても、従業員数では数千人から数人という幅がありますし、作っているものも鉄鋼やゴムなどの素材をはじめ、ハイテク部品や大型建設機械まで、実に多種多様です。

工場など製造業を含む第二次産業の労働従事者数は、厚生労働省が2008年に行った調査では、就労者人口の約29%を占めています。

(そのHP:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/13/dl/13-1-4_02.pdf

このように多くの人が働く工場とは、どのようなところなのでしょうか。そして、工場で働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、それらについて詳しく解説します。

■工場勤務の特徴

工場における勤務では、決められた始業時刻から終業時刻まで、特定の機械を操作します。

メンテナンスや他職場への応援などもありますが、基本は決められた機械の操作がメインとなります。

このような工場の勤務には、他の仕事にはないいくつかの特徴があります。

○仕事時間が一定している

始業時刻が毎日決まっていますので、朝、自宅を出る時刻に変化がありません。通勤手段が電車でも車でも、時刻が決まっていれば規則正しい生活ができます。

終業時刻は残業の有無で違ってきますが、どの業種でも季節的繁忙などの傾向があるため、前もって分かることがほとんどです。

夜勤がある工場もありますが、時刻は毎日同じです。

○レジャー等の年間計画が立てやすい

年間カレンダーが1年単位で決まっていますので、休日の旅行など長期計画が立てやすいです。さらに工場では、1週間や10日など長期休暇でないと実施できない大規模メンテナンスが必ずあります。これらのために長期休暇が設定されている場合もあり、働く側にとってはありがたいしくみとなっています。

○制服や靴が支給される

工場では、決まった制服(作業着)が支給されます。目的は、

・作業者の安全を確保する

・製品の品質を保持する

・従業員の一体感を高める

などで、仕事用の服装や靴について毎日悩む必要がないのは、案外気楽なものです。

通勤に作業服を着ていいかどうかは、会社によって異なります。靴も、つま先に鉄板の入った安全靴が支給され、すり減ったり破損したりすれば新品が支給されます。

ほかにはヘルメット、作業用手袋、保護めがね、防塵マスク、エプロン、脚絆など、作業に必要な保護具は会社が負担します。

○大きな工場では福利厚生が充実している

大規模な工場となると面積も広大で、中には、港湾に面しているため船が接岸したり、構内を電車が走ったりする工場もあります。従業員が増えると、食堂などを整備する必要が生じます。

粉じん作業があればシャワー施設や風呂もあります。

独身寮や社宅が近隣に建てられている工場もあり、従業員が増えると、これら福利厚生が充実してきます。

■工場勤務のメリット

次に、工場に勤務するメリットを解説します。そこには工場ならではのメリットや、「もの作り」を行うことで得られる充実感や達成感があります。

○残業代などがきちんと支払われる

工場勤務の時間は一定で、一日8時間を超過した分は残業代として支払われます。ほかには休日出勤手当、深夜勤務手当をはじめ、「炉前作業」など特殊勤務手当が支払われる場合もあります。

営業職の裁量労働時間では労働時間の長さが給料に反映されませんが、工場では働いた時間分がきちんと支払われます。

○入社時に専門知識は不要

工場に新卒または中途入社する場合、あらかじめ必要な資格は必要ありません。特別な知識や経験も不要です。

必要なのは、仕事に従事できる健康な肉体、きまりや作業手順を守り危険な行動をしない真面目さ、協調性などです。

スキルアップにつれて必要になってくる資格は、入社後に取得できます。費用は会社が負担します。

○幅広いスキル・資格を習得できる

工場では、作業を行ううえで、特定の資格や技能が必要なことがあります。例えば、クレーン運転士試験、危険物取扱者試験、フォークリフト技能講習、玉掛技能講習、自由研削といしの取替え等特別教育などです。

一度取得した資格は、在職中のスキルアップはもちろん、転職にも生かせます。

○人と関わることが少ない

工場の仕事は、月次や日時の生産計画に基づいて行われます。作業としては機械に原材料をセットし、機械を操作し、製品を作ることがメインです。生産量、原材料の切り替えなどは生産計画に基づいて行います。

製造工程後の検査・梱包などの工程においても、仕事の対象は機械と、製造される製品です。

○一つのことを追究できる

工場など製造の現場には、必ず「改善提案制度」があります。

現状の工程をこう改善したらいいのではないか、機械のこの部品をこうすれば生産性が上がるのではないかなど、QCD(Quality品質、Cost費用、Delivery納期)をよくするための提案を行う制度です。

提案しても成果が上がってもインセンティブ(報奨金)がもらえますし、日本の製造業において、このような個人の地道な努力・探究心が会社を代表する大きな成果を上げたことがあります。

2000年からテレビで放送されたノンフィクションのシリーズ番組で、『一つの製品が断崖絶壁の危機に追い込まれた会社を救った』、『土壇場で起死回生の一発を放ったのはある社員のアイデアだった』というテイストの内容を放送していました。

もちろん実話であり、これらに共通しているのは、一つのことを徹底的に追究した技術者の姿勢です。

このように工場には、もの作りにおいて一つのことに徹底的に没頭し専念できる風土があります。

○もの作りに直接関わっているという充実感を得られる

人間は多くの「もの」に囲まれて生活しています。文明や文化の歴史とは、生活を快適にする道具・機具・機械を発展させてきた歴史でもあります。

工場で製造する素材や完成品は、それを購入した方の生活を豊かに快適にします。工場勤務は、それに携わっている実感を味わうことができます。

製造しているものが完成品なら、それが実際に店頭に並んでいれば嬉しくなります。素材であっても、それが例えば車や家電製品のどこに使われているかを知れば、もの作りに従事している実感がわきます。

■工場勤務をする前に知っておきたいこと

工場勤務のメリットについて解説しましたが、工場には工場ならではの特性もあります。それをデメリットと考えるかどうかは人それぞれですが、これらもご紹介しておきます。

○どんな工場にも適性がある

工場で製造される製品は千差万別で、鉄鋼やセメントなどの重厚長大産業から、ナノテクノロジーを扱うハイテク産業まであります。製品の重さで言えば、トン単位の工場もありますし、ミリグラムあるいはそれ以下の工場もあります。

これら両者を比較すると、工場の大きさ、職場環境、操作する機械は全く違ってきます。夏は暑くて冬寒い工場もあれば、一年中全く同じ気温と湿度に管理されている工場もあります。

当然ながら、そこで必要とされる技能や知識も異なります。工場によって適性があるということになります。

○汚れる仕事もある

機械を動かせば、中に入っている作動油は徐々に汚れます。シールやパッキンから油が漏れることもあるでしょう。油は定期的に交換しますから、そのときに体が汚れる可能性があります。

工場によっては、水や化学物質の蒸気、ガス、粉じん、騒音なども発生します。これらは保護具で防げますが、手袋や作業服は汚れてしまいます。

工場の仕事は、きれいな仕事ばかりではないことは知っておきましょう。

○コミュニケーション能力も大切

機械を稼働させている間、人と関わることは少ないですが、仕事における対人関係は非常に重要な位置を占めます。

例えば機械に不具合があったとして、それをメンテナンス担当者あるいは機械メーカーに正確に伝える言葉づかい、コミュニケーション能力は不可欠です。

また、朝礼で自分の仕事の進捗度合いを報告することもあります。改善のミーティング、職場会議もあるでしょう。こうした場面において、自らの考えや意思を正確に伝える能力は、社会人としてとても大切であり必要だと言えます。

○労災に注意

労災(労働災害)とは、仕事を原因としたケガのことです。工場勤務において、強調してもしすぎることがないのが労災です。

工場において多いケガは、指先や手先のはさまれ・巻き込まれ、墜落や転落です。

労災を分析してみると、【不安全状態】と【不安全行動】が重なったときに起きており、ほとんどは不安全行動が原因であることが分かっています。つまり、手順書通りに操作しなかった、機械を止めずに手を入れるなどの危険行動をした、自信過剰だったなどの要因です。

人は慣れてくるとつい楽をしたがりますが、そういうところに労災の落とし穴があります。

どの工場でも労災撲滅には力を入れており、法的に定められている安全衛生委員会をはじめ、「ヒヤリハット運動」「KYT活動」などがありますから、是非それらに注目し、労災を起こさないように努めてください。

■もの作りの楽しさを感じてほしい

人間は過去の歴史において、「あったらいいな」と思うものを必ず作ってきました。飛行機、宇宙衛星、テレビ、携帯電話などはその代表でしょう。

つまり、これら文明発展を可能にしてきたのは高度な技術であり、それを支えたのは優れた道具・機械です。そして、その根本にあるのが「もの作り」であることは明白です。

優れた「もの」があってこそ、科学技術は発達し、生活は快適になります。それを作るのが工場というところです。

工場は、産業の原点である「もの作り」の最先端の現場なのです。